「ごり押し」という言葉は、強引に押すという意味で理解されていると思います。
よく聞く表現ですよね。
たとえば新人のタレントを売り出す時などに、芸能事務所がテレビ局などに強引に売り込みをしていると噂されると「あの○○は事務所がごり押ししているから」なんてネット上で評されたりします。
少し無理な手段で希望を叶えたり、自分の意志を押し通すことなどを「ごり押し」と表現しているのです。
では、この「ごり押し」の語源とは何なのでしょう。
「強引に押す」という様子から、ゴリゴリと音を立てているイメージを連想されるかも知れません。
しかし、ゴリゴリという擬音から生まれた言葉ではないようです。
「ごり押し」の語源について解説しましょう。
「ごり押し」の意味とは
「ごり押し」は、冒頭でも説明しましたが、自分の考えを押し通すために、無理な手段で進めることです。
「ごり押し」という言葉の代わりには「ねじ込む」や「押し切る」などがあります。
これらの言葉には、必ず相手が存在します。
相手がいなければ、無理な方法で押し通す必要はありません。
つまり、「ごり押し」というのは、相手の気持ちや考えを無視しても、押しと押すことなのですね。
「ごり押し」の語源とは
「ごり押し」という言葉は、ゴリゴリという音の連想ではないとすれば「ごり」とはいったい何なのか疑問です。
語源と考えられているのは「ごり」と呼ばれている魚でした。
「ごり」というのは淡水に生息する魚の名前です。
見た目にはハゼに似ているそうです。
ただし、「ごり」という呼び名は正式名称ではないので、同じ魚でも地域によっては違う呼び方もあります。
「ごり」という呼び名は比較的広範囲で使われているので、「ごり押し」という言葉の語源にもなったのではないでしょうか。
さて、なぜ「ごり」という魚の名前が「ごり押し」の語源になったのかという疑問です。
これは「ごり」の漁の方法がかなり強引だったからだと言われています。
その漁の方法は、浅瀬にムシロを敷いておき、そこに棒で魚を追い込んで一気に引き上げるのです。
強引な方法で追い込むことから、「ごり押し」の語源になったというのが有力な説です。
他にも語源として考えられる説は、距離を表す「五里」です。
一里は約400メートルなので、五里は2000メートルです。
そのくらいの距離を一気に押し動かすくらい強引だというのが、「ごり押し」の語源だという説もあります。
どちらが正解なのかは、ハッキリしていません。
「ごり押し」の使い方
「ごり押し」の使い方を例文で見てみましょう。
あれ?
飲み会には参加しないのがあなたのポリシーじゃなかったの?
そうだよ。
だから断り続けたんだけどね。
部長から直々に言われたら仕方ないでしょ。
今回はA先輩が幹事でしょ。
張り切ってたからなぁ。
あそこまでごり押しされれば、折れるしかないでしょ。
普段の会話では、このように使えますね。
自分の気持ちを曲げてまで、相手に強引に押し切られた時には「ごり押しされる」と使います。
まとめ
「ごり押し」の語源とされるのは2つの説がありました。
「ごり」という魚の名前が由来という説と、距離の「五里」が由来という説のどちらでも、納得できる由来のように感じます。
ただ、一般的には「ごり」という魚の漁の方法が由来だとされる説の方が有力視されているようでした。