「市道の交わり」とは、どんな意味の言葉だと思いますか?
文字だけ見れば、市道(市の管理する道)が交差するところだと思ってしまいますよね。
ですが、「市道の交わり」は慣用句として古くから使われている言葉なのです。
どんな意味の言葉なのか解説しましょう。
「市道の交わり」とはどんな意味?
市道とは、地方自治体の○○市が管理している道路と理解している人がほとんどだと思います。
それは間違いではありません。
ちなみに県が管理すれば県道、国が管理すれば国道です。
一般人が所有する土地の道は私道です。
ということは、やはり「市道の交わり」とは市の管理する道の交差点のことなのか?となってしまいますが、この言葉が生まれた時代には○○市という自治体はないので、市道とは違う意味だったのです。
「市道の交わり」の「市道」とは、市場へ向かう道のことでした。
市場には、品物の仕入れに向かう人たちと顔を会わせます。
つまり、市道で会う人たちは仕事上でしか付き合いのない人です。
「市道の交わり」の意味は、
利害関係、損得で結びついている付き合い。
ということなのです。
市場で向かう道で顔見知りと出くわして、挨拶はするものの、本音を見せたりしないので、表面上だけの挨拶しかしない関係なのです。
親し気に話していても、じつは商売敵で腹の探り合いをしているような相手のことを「市道の交わり」と言うのです。
「市道の交わり」の使い方
「市道の交わり」の使い方を例文で見てみましょう。
さっき、話していた男の人って知り合いなの?
ああ、ランチしてたお店で?
そうそう。
親しそうに話してたけど、友達なのかなって。
え~、気になるの?
もしかしてやきもち妬いてるとか?
そんなんじゃないよ!
でも、イケメンだったよね。
ふふ・・。
もったいぶらずに教えてくれよ。
あの人は取引先で会った○○社の営業の人だよ。
ってことは、競合することもある会社じゃないか。
そうなの。
だから表面上はニコニコ話しているけど、お互いに腹の探り合いしてるのよ。
うわ、市道の交わりなのに、あんなに親し気におしゃべりできるなんて、すごいな。
そりゃこう見えても営業のプロだもの。
「市道の交わり」を使うとすれば、こんな会話で使えるのではないでしょうか。
「市道の交わり」に類義する言葉
「市道の交わり」は、今の時代に使うと冒頭のように「○○市管理の道路」と勘違いされるので、少し使い難いかも知れませんね。
他の表現では、
「事務的な」
「ドライな」
「仕事上の」
「業務的な」
このような言葉に言い換えることが多いのではないでしょうか。
まとめ
「市道の交わり」という言葉は、「市場への道」を「市道」と表していることがわかれば理解できますね。
市場へ向かう人たちの交わす言葉は、本心を明かさずに、損得勘定が根底にあるわけです。
意味がわかれば、使ってみたい言葉でしょう。