「あんな不祥事を起こした人が国会議員を続けるなんて、世論が許さない」
「次回は必ず世論を味方につけなくては」
「世論は短い周期で変化する」
このように、「世論」を使う会話をする時に「よろん」なのか「せろん」なのか迷ってしまいますよね。
同じ「世論」という文字を書くのに、読み方が違うのは、意味が違うのか・・それとも?
というわけで、今回は「世論」の2つの読み方と使い分けるポイントについて解説します。
今まで「世論」の読み方に迷ったことがある方は、ぜひチェックしてみてください。
「よろん」と「せろん」の違いとは
「世論」を「よろん」と読むのか「せろん」と読むのか迷ってしまうのは、どちらも似たような意味だからです。
似たような意味の言葉なのに、同じ字を使うので、余計に紛らわしくなるのですよね。
この「似たような意味」がポイントです。
「よろん」と「せろん」は同じ意味ではないので、読み方を分けているのです。
ではなぜ同じ字を使うのか、そこが疑問ですよね。
ですが、そもそも「よろん」と「せろん」は違う漢字を使っていました。
違う漢字を使って表していたのは、意味がそれぞれあるからです。
「よろん」と「せろん」の意味を見ていきましょう。
「よろん」とは
世論(よろん)とは、
それぞれの問題について、世間の人の考え。
一般の人たちの間で共通する考え。
このような意味があります。
一般の人たちの考えが2つに分かれるような時には、「世論(よろん)が割れる」などと言います。
世論調査は「よろん」の読み方です。
「せろん」とは
世論(せろん)とは、
世の中で広まっている噂。
世間で言われている評判。
風評。
このような意味があります。
「私たちの知らないところで世論(せろん)が広まっている」など、世の中に広まる話という意味が「世論(せろん)」なのです。
なぜどちらも「世論」と書くのか
「よろん」と「せろん」は、もともと違う意味の言葉として使われてきました。
それなのに、なぜ同じ「世論」という字で書くようになったのでしょうか。
同じ字で書かれるから、意味がゴチャゴチャになってしまったと思うのです。
どちらも「世論」という字で書くようになった理由は、常用漢字が制定されたことがきっかけだったようです。
「よろん」は「輿論」と、「せろん」は「世論」とそれぞれ違う文字で表していたのですが、「輿論」の「輿」の字が常用漢字に入らなかったのです。
昭和21年に常用漢字が制定されるまでは、「輿論」と「世論」は別の意味の言葉として使い分けられていたのですよ。
しかし、常用漢字に入らなくなってしまったため、新聞や書籍などの出版物では「世論」という字を使うようになります。
前後の文章から、「よろん」なのか「せろん」なのか理解しなければいけなくなりました。
読む人に理解が委ねられるので、誤解から誤用されるようになってしまうのでしょう。
すこし不親切ですよね。
しかも、かけ離れた意味ではなく、「よろん」と「せろん」は似通った意味を持っているので、いつしか同じ意味の言葉として使う人が増えてしまったのでしょう。
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まとめ
「よろん」も「せろん」も、世の中の多くの人たちの意見という意味として使われるようになっています。
もともとは違う意味の言葉だったのに、漢字が使えなくなったことが理由で同じ意味になってしまったなんて、不思議な話ですよね。