「足をすくわれないように」とか「足元をすくわれないように」など、注意を促す時などに使う表現です。
「足をすくわれる」と「足元をすくわれる」のどちらが正しいと思いますか?
「足元をすくわれる」と言っている人の方が多い印象がありますよね。
ほんとうに「足元をすくわれる」が正しいのか調べてみましょう。
「足元をすくわれる」は間違い
「足元をすくわれる」(足下と書くこともある)は、「足をすくわれる」の誤用です。
つまり間違った表現なのですね。
「足をすくわれる」とは相手の足を持ち上げて倒すことです。
その様子から
相手の隙をついて、予想外の方法で相手を失敗させる。
という意味の慣用句です。
意外なところから狙われて失敗させられるかも知れないから、油断せずに十分注意するように促す時に使う表現です。
ですが、最近では「足をすくわれる」よりも「足元をすくわれる」の方を使っている割合が断然多くなっています。
2010年の調査では、「足をすくわれる」を使うのは20%にも満たなかったのに対して、「足元をすくわれる」は75%近い人が使っているのです。
誤用の方が一般的になってしまうと、誤用でも間違いとは言い切れなくなってしまうのですね。
なぜ「足元をすくわれる」が一般的に?
「足をすくわれる」が正しかったはずなのに、なぜ誤用の「足元をすくわれる」が一般的に広まったのでしょうか。
その理由は調べてもハッキリしません。
あくまでも推測ですが、幼い子供などが転ばないように親が注意する時や、段差などで転ばないように注意する時などに「足元に気を付けて」と言いますよね。
足元というのは、足が着いている周囲のことです。
そこに転ぶような石が落ちていないか、つまづくような段差がないか注意を促す時には「足元に気を付けて」と言います。
そこから「足をすくわれる」と混同されたのではないでしょうか。
足元は足が着いている周囲のことなので、すくわれることはありません。
よく考えれば意味として成り立たないのですが、ゴチャゴチャになってしまったのではないかと考えられます。
あくまでも推測の範囲ですが・・。
「足をすくわれる」の使い方
「足元をすくわれる」の方が優勢になっていますが、正しいのは「足をすくわれる」なので、使い方を例文で見てみましょう。
明日のプレゼンの準備は万全?
もう完璧だよ。
負ける気がしない!
スゴイ自信だね。
自信があるのはいいことだけど、油断は禁物だよ。
ライバルもなかなか手ごわいから。
大丈夫だよ。
どこにも負けないから。
それならいいけど、足をすくわれないように気を引き締めてね。
ありがとう。
頑張るよ!
このような会話で使えます。
「足元をすくわれる」でも間違いと指摘されることもないでしょうが、正しいのは「足をすくわれる」なので頭の片隅に入れておいてください。
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まとめ
すっかり立場逆転してしまい、誤用であったはずの「足元をすくわれる」が広まってしまいました。
でも、本来は「足をすくわれる」だったことを知れば、また変わるかも知れませんね。