「どうもあの人とはそりが合わないわ」とか「私たち、うまが合わないみたいね」など、気が合わない者同士のことを表現する2つの言葉があります。
どちらも気が合わない、相性が悪いという意味で使われるのですが、まったく同じ意味なのでしょうか。
合わないのは「そり」なのか「うま」なのか、その違いに注目してみました。
使い分けるルールがあるのかも知れません。
今回は、「そりが合わない」と「ウマが合わない」について解説します。
気が合わない相手のこと
「そりが合わない」も「うまが合わない」も、どちらも気が合わないことを表す言葉として日常的に使われています。
どちらも正しいのか、それともどちらかは誤用なのか・・。
見ていきましょう。
「そりが合わない」とは
「そりが合わない」は「反りが合わない」と書きます。
この「反り」は刀のカーブのことです。
この言葉の語源は、刀の反りと刀を収める鞘の反りが合わなければ、刀を収めることができないので、気が合わない人同士を表す言葉として使われるようになりました。
ぴったりと反りの合う刀と鞘ならば、スムーズに収まりますが、少しでも反りが合っていないと、入らないのですね。
同じ意味の言葉に「水と油」があります。
水と油は混ざり合わないので、相性の悪い者同士のことを表現する言葉として使われます。
関連記事:【しのぎをけずる】というのはどんな意味?その語源とは?
「うまが合わない」とは
「うまが合わない」とは、「反りが合わない」と同じく、気の合わない者同士を表す言葉として使われています。
ですが、本来は「うまが合う」としか言わなかったのです。
「うまが合う」とは、相性の良い馬に乗ると、心地良いので、そういう相性の良い者同士を表現する言葉として使われるようになったのです。
相性が悪い馬に乗れば、思うように動いてくれないとか、暴れ出して落馬する危険もあります。
相性の良い馬に乗る安心感から、相性の良い相手のことを「うまが合う」と表す慣用句になったのです。
それがいつの間にか、気が合わない者同士のことを「うまが合わない」と言うようになりました。
そして「うまが合う」の対義語と認識されるほど、広く定着したのです。
2つの言葉を使い分けるポイントは?
「反りが合わない」と「うまが合わない」は、同じ意味の言葉としてすっかり広まっています。
ですが、「反りが合わない」の対義語として「うまが合う」と言っていたのです。
使い分けるポイントは、気が合わない者同士は「反りが合わない」。
気が合う者同士のことは「うまが合う」とするのが正しい使い方のようです。
使い方
「反りが合わない」と「うまが合う」の使い方を例文で見てみましょう。
また同期のAさんともめてたみたいだね。
あ、見られてたか・・。
どうしてそんなにもめるのかなぁ。
あいつとは育った環境もまるで違うし、反りが合わないんだよ。
まあ、そういう人もいるからしょうがないか。
もう1人の同期のBとはすごくうまが合うんだ。
そうなんだ。
転勤しちゃったから寂しいね。
あんなにうまが合うやつとは、なかなか出会えないからな。
このように対義語として使えば、わかりやすいのではないでしょうか。
まとめ
「反りが合わない」と「うまが合わない」という2つの言葉は、同じ意味として使われています。
すっかり定着しているので、同じ意味として使っても間違いではないのですが、本来は「うまが合わない」とは言わなかったようなので、正しく使えるようにおぼえておきたいですね。