「あの人はタッパがあるから」とか「タッパが高いから目立つ」など、身長のことを示す言葉として使われてきた「タッパ」ですが、最近はあまり聞かなくなりましたね。
「タッパ」はすでに死語だと言う人もいるくらいなので、今の若い世代は意味も理解できないかも知れません。
さて、この「タッパ」という言葉ですが、語源は何なのでしょう。
どこかの方言だったのか、それとも若者言葉として生まれたのか。
完全に「タッパ」という言葉がこの世から消滅してしまう前に、語源を調べておきましょう。
「タッパ」の語源とは
「タッパ」は背の高さのことを表す言葉として世の中に定着したのですが、「タッパ」は身長のことではなく、高さを示す言葉でした。
「タッパ」の語源を調べてみると、建築用語が由来だったことがわかりました。
「タッパ」は漢字で書くと「立っ端」です。(建っ端と書くこともある)
今でも建築の仕事に携わっている人は、高さのことを「タッパ」と言っているのです。
一般社会では、背の高さのことを示す言葉として定着してしまったので、建築関係の仕事の人が使う「タッパ」は違和感をおぼえるのかも知れませんね。
ですが、背の高さの表現になったのは後々のことなのです。
建築用語が語源になった言葉
「タッパ」のように、建築関係の仕事をする人たちが、仕事上で使う用語が一般に広まった言葉は他にもあります。
よく使われている言葉をみてみましょう。
たたき上げ
「たたき上げ」と言えば、努力と苦労を積み重ねて一人前の立派な人間になるという意味の言葉です。
この言葉も建築がもとになっています。
「たたき上げ」の語源は、敲き土(たたきつち)です。
昔の日本家屋には、土間がありました。
台所などは木の床を作らずに、土を固めた状態のままにしたのです。
土間にするために、土をしっかりたたいて固めるのが敲き土という工程になります。
この敲き土が、しっかりと土台を固めるために、苦労と努力を重ねてきた人に対して「たたき上げ」というようになったのです。
釘をさす
「釘をさす」と言えば、念には念を入れることとして使われる言葉です。
後々になって問題が起こらないためにも、念入りに注意を促す時に使いますよね。
この言葉が建築用語から生まれたというのは、すぐにわかるでしょうが、由来は日本建築の工法です。
日本古来の木造建築は、金属のを使わずに木材に細工を施して繋いでいました。
錆びて劣化するのを防ぐためでした。
しかし、木材だけでは負荷が大きい箇所には、念入りに釘をさしたことから、念には念を入れることを「釘をさす」というようになったのです。
打ってつけ
「打ってつけ」と言えば、ピッタリ合うことを表現する言葉として使いますよね。
この言葉の語源も建築が由来です。
釘を打ってつけると、ピッタリ収まる板のことを指す建築用語がもとになっています。
筋金入り
「筋金入り」と言えば、その道では揺るぎない力を備えている人物を指す時に使います。
強度を強くするために、細長い金属を使うことが「筋金入り」の語源です。
建物の強度を強くするために使った細長い金属のことを「筋金」と呼んでいたので建築用語から生まれた言葉なのです。
まとめ
「タッパ」の語源が建築用語だったとは、建築に関わったことがない人は想像できなかったのではないでしょうか。
しかし、日常的に使う言葉の中には、建築用語が語源になった言葉が沢山あるのですね。