女房が使われたことわざが数多くあるのはなぜ?それぞれの意味は?

ことわざ・慣用句

女房とは、もともとは宮中や貴族の屋敷などで働く女官や女中たちが使う部屋のことでしたが、次第に庶民の間で妻のことを指す言葉になりました。

妻、家内、かみさん、奥さんなど、女房の他にも色んな呼び方がありますが、ことわざに使われるのは女房が多いようです。

そこで、女房が使われることわざを集めてみました。

それぞれの意味を知ると、なぜ女房がことわざに多く使われるのか見えてくるかも知れません。

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女房去ったは銭百落とした心持ちがする

「女房去ったは銭百落とした心持ちがする」とは、一緒に居る時には気に入らなかった妻なのに、別れて出て行ったあとはなぜか損したような気持ちになるという意味です。

損得の話ではないのに、そこでお金を落としたことに例えるのは、男の強がりから生まれた言葉ではないかと思います。

女房鉄砲仏法

「女房鉄砲仏法」は、女房と鉄砲と仏法というつながりのない言葉が使われています。

女房の存在があるからこそ、家が安定して穏やかな暮らしができる。

鉄砲の威力によって、世の中の悪が抑えられる。

仏法の力によって、人々の不安や苦しみが軽くなり、平和な世の中になる。

このように、女房鉄砲仏法のそれぞれの力がいかに世の中の安定のためになっているのかを表しています。

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女房と米の飯には飽かぬ

「女房と米の飯には飽かぬ」とは、日々の暮らしの中で当たり前になっていて特に目立つこともないけれど、ずっと飽きることはないという意味です。

毎日の主食であるお米のご飯は、朝昼晩と続いても飽きることはありません。

それは日本人の食生活に溶け込んでいるからでしょう。

お米のご飯と女房を並べれ、どちらも日々の生活に欠かせないので飽きることはないと表現しているのです。

女房と畳は新しい方がよい

「女房と畳は新しい方がよい」とは、今の時代に使うと大変なことになります。

新しい畳は好い香りがして、とても気持ち良いですよね。

女房も長年連れ添うと古い畳のようにささくれ立ってくるから、畳と同じく新しい方が良いということです。

男性が上に立つ封建的な時代に生まれた言葉です。

女房と鍋釜は古いほどよい

「女房と鍋釜は古いほどよい」とは、毎日使う鍋や釜は、使い慣れている物の方が良いように、妻の長年連れ添うと阿吽の呼吸が合うようになり、日々の暮らしが順調に進むという意味です。

また、家計のやりくりや家事全般も、新妻よりもベテラン妻の方が上手くこなせるということでもあります。

女房と味噌は古いほどよい

「女房と味噌は古いほどよい」とは、時間を重ねることで熟成を増す味噌のように、長年連れ添った妻とは理解が深まるので良い関係になれるという意味です。

「女房と味噌は古いほどよい」と同じ意味です。

そして「女房と畳は新しいほうがよい」とは正反対の意味です。

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女房の妬くほど亭主もてもせず

「女房の妬くほど亭主もてもせず」とは、妻が心配してやきもち妬くほど夫は女性にもてないから安心しなさいという意味です。

自分が惚れた男なので、きっと他の女性も好きになるのではないかと思うのでしょう。

自分の好みが他の人にも当てはまるわけじゃないのに、やきもち妬いてしまう妻が多いからでしょうね。

女房は家の大黒柱

「女房は家の大黒柱」とは、妻の存在がいかに重要なのかを伝えています。

一家の大黒柱と言えば、稼いで家族を養う夫のこととして例えられます。

しかし、本当は妻が家計をやりくりしているからなので、大黒柱は妻の方だという意味なのです。

男性よりも立場が下とされてきた女性ですが、大切な存在だとわかっている人がいたからこそ生まれたことわざです。

女房は変えるほど悪くなる

「女房を変えるほど悪くなる」とは、最初の妻が気に入らなくて別れ、次に新しい妻を迎えてもまた別れてと繰り返していると前よりも良い人はこないという意味です。

今ほど離婚が簡単ではなかった時代は、結婚に失敗した過去があれば良い縁談には恵まれません。
何度も繰り返していれば尚更です。

女房は貸すとも擂粉木は貸すな

「女房は貸すとも擂粉木は貸すな」とは、使って減ってしまうものは貸してはいけないという意味です。

女房は貸すとも・・という部分が気になりますが、使って減るものはどんなに親しい間柄でも貸してはいけないということをわかりやすく表現するために、大切な存在である妻を用いたのでしょう。

擂粉木は、すり鉢の表面で削られてしまうので、長く使っていると短くなります。
そういう物を人に貸すと、トラブルのもとになるので、貸さないほうが賢明ですよね。

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女房は質に置いても朝酒はやめられぬ

「女房は質に置いても朝酒はやめられぬ」とは、朝から飲む酒は、酒好きな人間にとって格別においしいからやめられないという意味です。

朝酒を飲むためなら、大切な妻を質に入れても構わないというひどい話です。

ただ、妻が質草になるわけはないので、それほど朝酒がやめられないということを表しているのでしょう。

女房は台所からもらえ

「女房は台所からもらえ」とは、自分の家よりも格式の低い家から嫁をもらった方がよいという意味です。

正面から堂々と入る嫁は、自分の家よりも格が高い家柄なので、気を使わなければいけません。

嫁を迎えるなら、自分よりも家柄が低いほうが気楽に暮らせるということなのでしょうね。

身分の低い者は、勝手口から入るのが礼儀だとされていた時代に生まれた言葉です。

今よりもずっと格差が激しく、家柄を重んじた時代を象徴しています。

女房は半身上

「女房が半身上」とは、家の繁栄は夫の稼ぎだけじゃなく、半分は妻の力だという意味です。

また妻という存在には、家の財産の半分の価値があるという意味でもあります。

どれほど夫が頑張って稼いでも、上手にやりくりできる妻がいなければ家は栄えないので、妻の重要性を表した言葉です。

女房のことわざが多い理由

女房が出てくることわざの意味を見てきました。

女房を使ったことわざが多いのは、女房という存在が大きいからです。

女房を悪く言うことわざもありますが、身近な人の代名詞だからではないでしょうか。

女房という呼び方は、親しい間柄の人との会話じゃなければ使いません。

つまり、女房は庶民の日常会話にはピッタリな人物だったのです。