同じ読み方をする日本語はとても多いので、正しく使い分けるのは難しいですね。
何となくわかっているつもりでも、それが正しいのかどうか本音を言えば自信がないという人が多いのではないでしょうか。
例えば「鑑賞」と「観賞」はどうでしょう。
この2つの言葉を正しく使い分けられる人はどのくらいいるのかわかりませんが、一度しっかり理解しておけば間違えることもありませんよね。
今回は「鑑賞」と「観賞」を正しく使い分けるポイントを解説しましょう。
「鑑賞」とは
「鑑賞」は、芸術性の高い絵画や音楽、映画などを見ることです。
芸術作品を見て、自分の立場からその芸術を味わうことを「鑑賞する」と言います。
例えば絵画などは、じっくりと見なければ、その作品に秘められている作者のメッセージなどが理解できないこともあります。
どんなにじっくり見ても、理解できない芸術作品も沢山あるでしょう。
そういう作品を見る時は「鑑賞」なのです。
「観賞」とは
「観賞」は、自分が見て楽しむことです。
映画や音楽は、芸術性の高いものから、娯楽のために作られたものまで幅広くあります。
同じ映画でも、楽しむことが主な目的の作品の場合は「映画を観賞した」と言います。
芸術性が高く、楽しむよりも深く考える内容であったり、映像のクオリティを味わうような場合は「映画を鑑賞する」と言っても間違いではないのです。
つまり、「観賞」は見て楽しむことと理解すれば良いのです。
使い分けるポイントは芸術性
「鑑賞」と「観賞」の違いは、その人が芸術性を感じるかどうかで分ければ間違いにはなりません。
音楽の場合でも、クラシック音楽のコンサートは鑑賞を使うのが一般的です。
ポップスやロックなどライブは観賞を使うことが多いのですが、クラシック音楽を純粋に楽しむために聞く人もいます。
音楽のジャンルで「鑑賞」と「観賞」を分けるのではなく、見る人、聞く人が芸術を味わうのか、楽しい時間を過ごすのを目的にするのかによって使い分ければいいのです。
自然の風景などは?
「鑑賞」なのか「観賞」なのかわかりにくいのが、自然の風景や草花などです。
美しい自然風景は、まるで芸術性の高い絵画のようで、見る人はその風景を味わいます。
ですから自然の景色や草花などの美しさを見ることに対しては、「鑑賞」を使いたくなると思います。
ですが、人が手を加えていない自然に対しては「観賞」を使います。
美しい自然に楽しませてもらうという意味を込めて「自然を観賞する」と言うのでしょう。
その自然の草花などを使い、人が作り出した作品に対しては「鑑賞」と言います。
生け花やフラワーアレンジメント、盆栽、ガーデニングなどは人が作り出す作品を味わうので「鑑賞する」のです。
まとめ
「鑑賞」と「観賞」の違いは、受け止める側がどう感じるのかという違いです。
娯楽作品にも芸術性を感じることもありますから、明確な分け方としての正解・不正解はないのです。
作品としての芸術性を感じたら「鑑賞」、楽しめる作品ならば「観賞」というポイントだけおぼえておきましょう。