すき間風といえば、窓や扉、壁などの細いすき間から入り込む風のことですね。
細いすき間から吹き込む風は、とても冷たく感じます。
「すき間風は冷たい」というのは、その言葉通りの意味として受け取れば、当たり前のことです。
ですが、わざわざ「すき間風は冷たい」という表現をするのは、そのままの意味ではないのです。
「すき間風は冷たい」という言葉に込められた意味とは何なのでしょう。
「すき間風は冷たい」の意味とは
「すき間風は冷たい」とは、
親しい関係だった夫婦や恋人、または友人などとの関係に溝ができてしまうこと。
という意味として使われます。
すき間風は、屋外に吹く風よりも冷たく感じます。
それは、あたたかい室内に隙間から吹き込むので、その温度差が大きいからなのです。
「すき間風は冷たい」とは、それまでの関係がとても親密だっただけに、少し溝ができただけでも、冷たい風入り込むような印象を受けることを表しているのです。
それほど親しい関係じゃない相手と疎遠になったとしても、「すき間風は冷たい」という表現は使わないのです。
「すき間風は冷たい」の類義語
仲の良かった関係に溝ができるという意味の言葉は、「すき間風は冷たい」の他にもあります。
「秋風が立つ」とか「秋風が吹く」という言葉は同じような意味で使われます。
夏の暑い盛りには、涼しい風が吹けば心地よかったのに、季節が秋になると、風が冷たく感じます。
それが親密な二人の関係が冷えたという意味を表しています。
ただ、「秋風が立つ」や「秋風が吹く」は、男女の関係が冷めた時に使うことが多く、友人関係には使いません。
その理由として考えられるのは、季節が変わるように、人の心が変わるので、男女の恋愛と重ねているのでしょう。
また、「秋風」の「秋」を「飽き」とかけているという説もあります。
いずれにしても、人間関係はずっと同じ温度を保つのは難しいと思わせる言葉ですね。
「秋波を送る」は同じではない?
「秋風が立つ」や「秋風が吹く」という言葉と似ているので、同じような意味があるのかと勘違いしそうなのが「秋波を送る」です。
まるで相手に冷たい風を送って、関係を冷やそうとするような意味だと勘違いしてしまいそうです。
ですが「秋波を送る」とは、女性が男性に対して気のある素振りを見せることを表しているのです。
「秋波」というのは、涼やかな目元をした美人を指します。
つまり、美人が色目を使うことという意味だったのですね。
今では、女性が男性に色目を使う以外にも、人に媚びることにも「秋波を送る」を使うこともあるそうです。
まとめ
「すき間風は冷たい」や「秋風が立つ」また「秋風が吹く」のように、人間関係の変化をそのままの言葉ではなく、「すき間風」や「秋風」のように置き換えるのは、素敵なことだと思います。
そのままストレートに表現するよりも、やわらかく感じられます。
言葉は人の心を傷つけることもあるので、表現方法を変えるのもやさしさなのかも知れませんね。