「おざなり」という言葉は聞いたことがある人も多いでしょう。
では「なおざり」はどうでしょう。
聞き間違い?と思うほど似ていますよね。
でもこの2つの言葉はそれぞれ違う意味があります。
今回は「おざなり」と「なおざり」の違いをご説明します。
「おざなり」とは
「おざなり」とは
適当に手を抜いて、いい加減に済ませてしまう。
という意味です。
「おざなり」を漢字で書くと「御座形」です。
そもそもは、お座敷遊びをするお客様を喜ばす太鼓持ちという芸人から生まれた隠語のようなものです。
太鼓持ちは、お座敷遊びの時にお客様を楽しませることで、いわゆるチップのようなお手当をいただいたり、お座敷以外の場所でもご馳走になったりします。
ですが、お座敷にいるお客様によっては、いい加減に仕事をして済ませてしまうこともあったのです。
大金持ちに対しては、手を抜くこともなく一生懸命でしょうが、それほどでもないお客様にはその場限りの適当な仕事をする太鼓持ちもいたのでしょう。
太鼓持ちがお座敷をいい加減につとめることが「おざなり」の発祥だったと言われています。
太鼓持ちという芸人は江戸時代にいたので、「おざなり」という言葉は江戸時代から使われていたようです。
「なおざり」とは
「なおざり」とは
いいかげんな対応をして、結局は何もしない。
という意味です。
「なおざり」は漢字で書くと「等閑」です。
閑というのは何もしないでじっとしているという意味もあるので、何もしないに等しいというのが「なおざり」です。
「おざなり」が江戸時代から使われるようになったのに対して、「なおざり」はもっと古くから使われています。
平安時代には使われていた言葉ですが、「おざなり」に比べると現代ではほとんど使われなくなっています。
「なおざり」という言葉を使うと、「おざなり」の間違いではないかと思われるかも知れないので、使う場面を間違えないように気をつけないといけませんね。
「おざなり」と「なおざり」の使い分け方
「おざなり」の使い方の例です。
最近、家の中の掃除なおざなりじゃないか?
失礼ね!そんなことないわよ。
忙しいのはわかるけど、せめて玄関だけはおざなりにしないでキレイにして欲しいよ。
玄関が汚いと運気が下がるって言うだろ。
このような時に使うのが「おざなり」です。
「なおざり」の使い方です。
新しい習い事を探すって言ってたのに、結局何もしないまま一年過ぎちゃったな
新年に決めたことをなおざりにしてばかりなのは私も同じですよ
このような使い方をするのが「なおざり」です。
まとめ
「おざなり」と「なおざり」は言葉の響きもしていますし、意味も似通った部分があるので間違えやすいのもわかります。
「なおざり」が現在ではあまり使われなくなったのも、ややこしくなるからなのかも知れませんね。