訛りとは、お国訛りのことです。
つまりは方言ですね。
その地方の特有の言葉使い、表現、イントネーションのことを訛りと呼んでいます。
では、「訛りは国の手形」とはどんな意味があるのでしょう。
今の時代でも使えることわざなのか、解説します。
「訛りは国の手形」とはどんな意味?
「訛りは国の手形」とは、
出身地を言わなくても、その言葉の訛りを聞けば、どこで育ったのかすぐにわかってしまう。
という意味があります。
国の手形というには、江戸時代の通行手形のことです。
江戸時代になると、幕府は人が自由に往来するのを制限して、関所と呼ばれるところで、身分を証明する通行手形というものをチェックしていました。
それは武士に限ったことではなく、商人や農民など庶民にも義務つけられていました。
庶民は地元の役所に申請を出して、通行手形を発行してもらいますから、通行手形を見ればどこから来たのか一目瞭然です。
つまりは、今で言うところのパスポート(旅券)と同じようなものです。
訛りというのは、それほどに地域によって特徴があったので、言葉を聞くだけでどこの出身なのかわかったのでしょう。
今のように、テレビやラジオで日本全国に共通する標準語というものに触れる機会もなく暮らしていた時代の人たちの訛りは、きっと聞き取れないほど特徴が強かったのでしょうね。
日本で一番聞き取りにくい方言とは
テレビで地方の特徴を紹介する番組などを見ていると、青森県や沖縄県の方言は、同じ日本の言葉とは思えないほど難解です。
実際に難しい方言はどこなのか調査したアンケートでも、1位は青森の津軽弁、2位は沖縄の言葉でした。
青森は、同じ県内でも津軽弁と青森弁、南部弁と地域によって違います。
とくに津軽弁と南部弁は、多少の違いではなく、ハッキリとした違いがあります。
津軽弁の方が聞き取りにくいイメージが強いようです。
沖縄の言葉は、琉球王国という日本とは別の国だった名残があるので、とても聞き取れませんよね。
しかし、津軽弁や沖縄言葉よりも難しいと言われている方言も日本各地にあります。
狭い地域の方言ですが、鹿児島県の頴娃町(えいちょう)の頴娃弁は、日本一難解な方言として、テレビでも紹介されていました。
頴娃町は、江戸時代は薩摩藩が治めていました。
薩摩藩は江戸幕府の監視の目が届かないので、琉球など外国と密かに貿易をしていました。
その時に他の人たちに悟られないように、暗号のような言葉を使っていました。
その暗号が頴娃弁の起源だと伝わっています。
暗号が方言として残れば、それは難解なのも納得できますね。
まとめ
お国訛りを隠すために、吉原で働く遊女たちは花魁言葉を使ったと言われています。
簡単に訛りを消すことは難しかったでしょう。
通行手形が発行された土地と訛りが相違しているのは、怪しい人物だというチェック機能にもなるので、当時の訛りは重要なものだったのかも知れませんね。