【歯亡び舌存ず】とはどんな意味があるの?

ことわざ・慣用句

「歯亡び舌存ず」という言葉をご存知でしょうか?

歯は抜けてしまうこともあるので、なくなることもあるけど、舌はなくならない。

言葉をそのままの意味で解釈すると、そういうことになります。

しかし、この言葉にはもう少し深い意味があります。

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【歯亡び舌存ず】の意味とは?

「歯亡び舌存ず」とは、

硬いものより、柔らかいものの方が、長く残る

という意味があります。

柔らかいものは、硬いものよりも弱いイメージがあります。

ですが、硬いもの同士がぶつかると、割れやすいのです。

それに対して、柔らかいものは硬いものとぶつかっても、何もダメージを受けません。

硬い歯と柔らかい舌の対比があるので、例えに使われたのでしょう。

歯が抜けてしまうのはなぜ?

「歯亡び舌存ず」の意味として、硬いものより柔らかいものが残るというのは、歯を失う本当の原因とは違います。

人間の歯は、上下に14本ずつ(親知らずは含めない)あります。

合計すると28本あるのですが、80歳まで20本の歯が残っていれば歯の状態としては良好だと言われています。

虫歯になってボロボロになったり、歯周病で抜けてしまうので、歯は高齢になると抜けてしまいます。

でも、それは硬いのが理由ではなく、硬い歯さえも溶かしてしまう虫歯菌と、歯を支える骨さえ溶かしてしまう歯周病菌のせいです。

歯がなくなる理由と舌が残る理由は、硬さと柔らかさとは無関係なのですね。

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【歯亡び舌存ず】と同じ意味のことわざ

「歯亡び舌存ず」ということわざと同じ意味の言葉は他にもあります。

「柔能く剛を制す」
これは柔道の精神を教える時によく使われます。

やわらかくしなやかなものは、剛いものよりも、力を上手く受け流せるので、逆に勝てるという意味です。

「柳に雪折れなし」
柳は弱い風にも揺れるほど、柔らかい枝が特徴です。
だから、雪が積もっても、柳の枝は雪の重さを耐えることはなく、重さで枝を曲げて雪を落とします。

硬い枝の樹木の方が、雪の重さに負けて折れてしまうこともあります。
柔らかい方が、硬いものよりも無事を保ちやすいというのは、「歯亡び舌存ず」と同じですね。

まとめ

「歯亡び舌存ず」ということわざは、舌の方が優れているという意味ではなく、何ごとも柔軟に対応できるようになりなさいという教えなんですね。

たしかに、硬い考え方を貫こうとして挫折すると、心がポキッと折れてしまいます。

どんなことも柔らかい頭で考えられる人は、挫折にも強く、妥協したり、人に合わせたりするのも得意です。

しなやかな心、柔らかい思考になりたいですよね。