ずっと続いている様子を「のべつまくなし」と言います。
「あの子、のべつなくなしずーっとしゃべってるよね」とか「のべつまくなし食べているんじゃない?」とか。
ダラダラと終わりのない様子を表現する言葉として定着していますが、語源や意味について考えたことはありませんでした。
そこで今回は「のべつまくなし」の意味や由来について調べてみることにします。
のべつまくなしとは
のべつまくなしとは、「のべつ」という言葉と「まくなし」という言葉を合わせています。
「のべつ」とはひっきりなしに続くとか、休むことなくとか、切れ目なくというような時に使います。
「まくなし」とは幕無しと書きます。
幕を下ろすことなく、ひっきりなしに芝居などが続くことを「のべつ幕無し」と言うようになりました。
江戸時代はとくに芝居小屋が数多く建ち、現在の歌舞伎の原型が出来上がりつつあったのです。
現代のようにテレビ、ラジオ、ゲーム、映画など様々な娯楽がなかった時代ですから、芝居小屋は江戸時代の庶民の楽しみとして花形だったのです。
芝居小屋同士の競争も激しく、お客の奪い合いも多く、幕を下ろす暇もなくひっきりなしに芝居を続けてお客を逃がさないようにしたことから、江戸時代後期から「のべつ幕無し」という表現が生まれたという説があります。
語源は間違いなく芝居小屋からだったと思われますが、今の使い方としては芝居の幕とは関係なくなっています。
のべつまくなしはいい言葉?
のべつまくなしとは、切れ目なく続くことを表現する言葉ですが、自分自身がこの言葉を使う時は「ダラダラ続く」ようなことに対して使っているような気がします。
自分の周りの人に聞いてみても、やはりのべつまくなしという言葉はあまりいい印象を持たないとか。
例えば「のべつまくなし文句を言われてうんざりする」とか、そんな感じで使っていました。
ですが本来は休みなく、切れ目なくということなので、悪いことだけじゃなく、良いことに使っても間違いではないのです。
「のべつまくなし人助けのことばかり考えている人だ」とか「のべつまくなしボランティア活動に駆け回っている」とか使っても間違いではないはず。
ただ、何となく切れ目なく続くとか、休みなく続くとか、終わりが見えないのは良いことよりも悪いことに使いたくなります。
多分、嬉しいことや楽しいことはあっという間に終わってしまうので、休みなく続いていることにさえ気が付かないでしょう。
すごく面白い芝居や映画なら、3時間くらい休憩なくてもあっという間です。
しかし退屈なことはやけに長く感じるものなので、切れ目が見つからないと「いつまで続くんだろう・・」と思ってしまうのです。
休みなく続くことを際立たせるための言葉なので、良いことや楽しいことには使わなくなったのではないでしょうか。
まとめ
のべつまくなししゃべっている人に対して面と向かって「のべつまくなししゃべっているよね」とは言い難いものです。
もともとの意味から少し変化してきた表現方法なのでしょう。