細かいことをいちいち指摘するような人に対して「重箱の隅をつつくような」と言いますね。
これは簡略した表現で、ほんとうは「重箱の隅を楊枝でつつく」または「重箱の隅を楊枝でほじくる」と言います。
重箱の隅は楊枝くらい先の細いものじゃないとほじくることができません。
そのくらい細かいことを意味しているのです。
じつは重箱が使われることわざ、慣用句は他にも色々あります。
重箱を使って表現することで、多くの人がパッとその様子をイメージできるからなんですね。
重箱で味噌をする
重箱で味噌をするとは、細かいことを気にしない大雑把なことを意味しています。
重箱の四隅は杓子やヘラなどが届かないので、味噌をまんべんなく混ぜることができません。
四隅に残ったくらいの味噌のことなんて気にしないような大雑把な様子に対して使います。
重箱の四隅に残った食べ物を楊枝でつついて食べるくらい細かいこととは正反対の意味です。
重箱は味噌を入れる物ではないので、本来の目的で使わないと役に立たない物になってしまうという意味でもあります。
重箱に鍋蓋
重箱に鍋蓋とは、つり合いがとれていない様子です。重箱にはそのカタチに合わせたフタがありますが、鍋の丸いフタを重箱に乗せてもつり合いが取れるわけはなく、アンバランスな状態になります。
つり合いが取れない気持ち悪さを表現するのに重箱特有の形と鍋の形を引き合いに出したわけです。
重箱に煮しめ
重箱に煮しめとは、入れ物は立派なのに中には大したものが入っていないことから、外見ばかり立派で中身がともなっていないことを意味しています。
重箱は木製の箱に漆を何層も重ねて塗るもので、とても手間がかかります。
蒔絵を施しているものは、とても豪華で高価なものも多くあります。
そのような豪華で立派な重箱に煮しめのような地味な料理を入れるのは、外見に中身がともなっていないことを表現するわけです。
煮しめが地味な料理というのは個人的にはどうなの?と思うところですが、今では重箱はお正月のおせち料理くらいしか使わない家庭が多くなっています。
色彩もあざやかなおせち料理を色々詰めるのに適している重箱に、醤油ベースで全体的に茶色の煮しめは確かに勿体ないかも知れません。
スポーツを始めると、道具やウェアだけ上級者が使うような立派なものを持っているとか、バリバリ仕事しそうなプロ仕様の道具を使っているのに素人レベルとか、そのような見た目とのギャップがある様子を表現するのです。
まとめ
重箱の隅を楊枝でつつくのは、口うるさい上司や先輩、姑などに対して使うことが多いですね。
思わず「うるさいなぁ」と心の声が出てしまいそうな口うるさい人っていますからね。
重箱を用いたことわざや慣用句は、重箱の特長がわかりやすいので伝えやすいことから増えてきたのではないかと考えられます。
個人的には、重箱の四隅は洗いにくいので、あまり使いたくないというのが本音です。