【琴線に触れる】の由来はどこから?誤用されやすい理由とは!

ことばの雑学

「琴線に触れる」とは、お琴を演奏するという意味ではありません。

さすがに知ってますけど!

そうよね。
知らない人はいないでしょ!

そう思われるかも知れませんが、「琴線に触れる」を誤用するケースは少なくないようです。

「琴線に触れる」の意味や由来、誤用される理由について解説します。

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「琴線に触れる」とは

琴線とは、琴の弦のことです。

「琴線に触れる」とは、琴の弦を人の心の奥にある感情に例える慣用句なのですね。

意味を調べてみると、

人の心をゆさぶり、大きな感動や共鳴を与えること。
感動する心を鳴り響く弦にたとえていう。

新明解故事ことわざ辞典

このように書かれています。

何かに心を揺さぶられたとき、心が大きく動くような感動があった時に「琴線に触れる」というのが正しい使い使い方なのです。

「琴線に触れる」の由来

「琴線に触れる」の由来は、中国にあるようです。

琴のように弦を弾いて音を出す楽器は世界中にあります。

中国にも琴と呼ばれる楽器は古くからあったのでしょう。

由来として伝わっているのは、琴の名手として知られていた人物に心が通じ合う親友がいて、琴の音色を聞いただけで友の心の共鳴して心情を理解したというエピソードが列子という漢文にあるのです。

それが心の響き、共鳴するようなことをあらわす「琴線に触れる」の語源になったと言い伝わっています。

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「琴線に触れる」の誤用

「琴線に触れる」は誤用されることも少なくありません。

いやいや、

今のところ誤用されるとは

とても思えないよ

うん

誤用する意味がわからん

確かにそうなのですが、少し似たような響きの「逆鱗に触れる」と間違えて使う人がいるのですよ。

「逆鱗に触れる」とは意味があまりにもかけ離れているのですが、「逆鱗」と「琴線」が何を指しているのかわからないと間違えてしまうかも知れませんね。

「逆鱗に触れる」とは、相手を怒らせることです。

まったく違う意味なのですが、「○○に触れる」という後半の部分だけの記憶で使ってしまうケースがあるようなので気を付けないといけません。

「琴線に触れる」の使い方

「琴線に触れる」の使い方を例文で見てみましょう。

例文①

「卒業式で担任の先生の言葉は琴線に触れて、その後の私の人生に大きな影響を与えました」

例文②

「今回の契約は、ほぼ他社で決まっていたんだが、君のプレゼンが役員たちの琴線に触れたようだ」

例文③

「一枚の絵画の前から動けなくなった。その絵は私の琴線に触れたのだった」

まとめ

「琴線に触れる」とは、日常的にある小さな感動や共感ではなく、大きく心を揺さぶられたときに使うので、あまり見聞きする機会はないのかも知れません。

そんなに日常的に心を揺さぶられていたら、疲れてしまいますよね。

使う場面を考えて、くれぐれも「逆鱗に触れる」と勘違いしないように気をつけましょう。