「暗雲」とは、読んで字のごとく空が暗くなるような雲のことです。
ですが、一般的に気象用語としてはあまり使われたところを聞いたことは少ないですね。
それよりも、「暗雲が立ち込める」とか「暗雲が垂れ込める」として使われる方が多い気がします。
どちらも同じような意味で使われると思いますが「暗雲」は「立ち込める」のか「垂れ込める」のかどちらが正しいのでしょうか。
他にも「暗雲」の使い方はあるようなので、掘り下げてみました。
「暗雲」とは
暗雲とは、今にも雨や雪が降り出しそうな雲のことです。
それも、パラパラ程度ではなくと思わせるような分厚くて黒い雲のことです。
ただ、実際に空を見たときには「暗雲」と言うことは滅多にないでしょう。
黒い雲が出てきたから
もうすぐ雨が降りそうだ
このように、空の雲に対して「暗雲」を使う人は少ないのではないでしょうか。
暗雲の使い方
「暗雲が立ち込める」「暗雲が垂れ込める」は、今にも悪いことが起こりそうな形勢、情勢、雰囲気になった時に使われます。
どちらも使われますし、よく耳にするので、どちらが正しいのかと問われると迷う方が多いのではないでしょうか。
「立ち込める」と「垂れ込める」のそれぞれの意味を見てみると、より正しいのはどちらなのかわかりました。
立ち込める
立ち込めるとは
煙・霧などがあたり一面を覆う
という意味です。
「煙が立ち込める」
「霧が立ち込める」
「臭いが立ち込める」
このような使い方をします。
垂れ込める
垂れ込めるとは、
雲などが低く一面に広がる。
という意味です。
ここで「雲」が出てくるのでわかると思います。
暗雲は今にも雨が降り出しそうな黒い雲のことです。
雲は空にあるものですが、黒い雲が低く感じるときほど激しい雨が降りそうです。
そのことからわかるように、雲は上から下がってくるように見えるものなので、「立ち込める」よりも「垂れ込める」じゃなければ意味として成り立ちません。
つまり「暗雲が垂れ込める」という使い方をするのが、本来は正しいのです。
暗雲を雰囲気とする場合
「暗雲が垂れ込める」とは、悪いことが今にも起きそうな様子をあらわす言葉として使いますが、世の中的には「暗雲が立ち込める」もよく使われています。
その場の空気や雰囲気を伝えるために使うのであれば、「暗雲が立ち込める」でも間違いではなくなっているようですね。
嫌な空気に包まれているときには、「暗雲が垂れ込める」よりも「暗雲が立ち込める」の方がしっくりくるのかも知れません。
暗雲が垂れ込めるの類語
「暗雲が垂れ込める」と同じように、悪いことが起こりそうな不穏な空気になったときに使うのが「雲行きが怪しい」です。
天気について話すときにもよく使いますね。
晴れていて、雨なんか降りそうな空じゃなかったのに、急に雲が低く出てきて一雨降るのではないかという時に「雲行きが怪しい」と言います。
仲良しの2人がケンカしそうな雰囲気になったときや、上手く話し合いがまとまりそうもない様子など、悪いことが起こりそうなときにはやはり「雲」を使うのですね。
まとめ
「暗雲が立ち込める」と「暗雲が垂れ込める」は、どちらを使っても間違いではなくなっているようですが、暗雲がどのような雲なのかを考えれば、おのずと答えは見えてきますね。
ですが、気象用語として使う場面じゃないのなら、その場の空気をあらわす意味として「立ち込める」でも間違いではないので、気象用語以外ではあまりこだわらなくても良いのでしょう。