「花に嵐」とはどんな意味があるのが知っていますか?
花を使った慣用句はとても多いですよね。
とくに日本人にとっての「花」とは桜の花を連想するので、慣用句に使われる「花」も桜のことを用いている言葉が多いようです。
「花に嵐」も桜の花のことを用いたのでしょうか。
この言葉はどのような意味があるのか、どのような時に使うのか見ていきましょう。
「花に嵐」の意味とは
「花に嵐」とは、
よいことには、とかく邪魔が入りやすい。
ということを花にたとえた言葉です。
この花は、やはり桜の花のことです。
桜の花は「花七日」と言われるように、美しく花が咲くのは七日ほどの短い期間です。
桜の花が好かれるのは、美しく咲いていたのに、あっという間に散ってしまう儚さに魅力を感じるからだと言われます。
だからこそ、美しく咲いている間に愛でたいのですよね。
「花に嵐」とは、せっかく美しく咲いたのに、春の強い風が吹いて散らしてしまう様子から「邪魔が入りやすい」という意味を表す言葉になったのです。
たしかに桜が満開になる頃は、強い風が吹いたり、冷たい雨が降ったりして、せっかくの花を散らすことが度々あります。
ただでさえ桜の花盛りは短いので、嵐のような強い風は邪魔するに感じるのでしょう。
私たちの日々の暮らしのなかでも、楽しい時間はあっという間に終わってしまいますが、そこにさらに邪魔することがあれば、とてもがっかりします。
苦痛な時間は早く終わって欲しいと思うので、邪魔が入っても歓迎したくなりますから、楽しい時間、幸せな時間、嬉しい時間は邪魔が入って早く終わってしまうと感じるのでしょう。
そういう気持ちを表すのに「花に嵐」という言葉が使われるのです。
「花に嵐」の使い方
「花に嵐」はどんな時に使えばいいのか、例文で見ていきましょう。
例文①
せっかく今晩はみんな帰りが遅いから、夕食はお寿司の出前でも頼んでのんびりと過ごそうと思ったのに・・。
ごめんね、予想外に早く終わったの。
そんなに嫌な顔しなくても。
のんびりできたのもほんのつかの間よ。
花に嵐とはよく言ったものね。
例文②
先月は営業成績がすごく好調だったのに、今月は全然ダメ・・。
何か原因があるの?
ライバル会社の担当が変わって、凄腕らしい。
まあ、好い時ばかりじゃないわよ。
花に嵐ってことよね。
好調が続くと思っていたのが間違いだったよ。
「花に嵐」の類義語
同じような意味を表す言葉は、他にもいくつかあります。
類義する言葉を見ていきましょう。
月に叢雲(つきにむらくも)
「月に叢雲」とは、お月見したくなるような月夜に、雲が集まって月を隠してしまうことです。
せっかくのお月見を邪魔する雲をたとえとして使っています。
花ひらいて風雨多し
桜が咲く時期になると、風や雨が多く感じることから、「花ひらいて夫婦多し」は好い時は邪魔が入るという意味です。
好事魔多し
「好事魔多し」は、文字通り好い事には邪魔が入ることが多いという意味です。
まとめ
邪魔が入るという意味だけなら、「水をさす」や「横槍を入れる」など他にも数多くの慣用句があります。
ですが、好いことには邪魔が入りやすいという意味では「花に嵐」はピッタリの表現ではないでしょうか。
あっという間に散ってしまう儚い桜を愛する日本人だからこそ、このような言葉を使いたくなるのかも知れませんね。