【四百四病の外】とはどんな意味?その言葉の語源は?

ことわざ・慣用句

「四百四病の外」という言葉を知っていますか?

そもそも「四百四病」が初耳ですけど!という人もいるでしょう。

日常的にはほぼ使っている人もいないでしょうし、言葉としてもあまり知られていません。

どんな意味の言葉なのか、語源はどこからなのかなど、まったく想像できないので、さっそく調べてみました。

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「四百四病の外」の意味とは

「四百四病の外」(しひゃくしびょうのほか)という言葉の意味は、さぞかし深くて難しい意味があると思ってしまいそうですが、じつはとてもシンプルです。

「四百四病の外」の意味とは、恋わずらいのことです。

恋わずらいとは、恋愛した時に食べ物が喉を通らなくなったり、心が落ち着かなくなって眠れない夜が続いて体調が崩れることです。

今どき恋わずらいなんて経験する人はいないかも知れませんが、誰かを好きになった時のドキドキする気持ちはわかりますよね。

そのドキドキが激しくなれば、自律神経のバランスを乱すので、食欲や睡眠に影響することもあるのです。

今よりも男女の出会いにチャンスが少なく、また結婚前の男女の交際に厳しい目が向けられた時代には、恋わずらいで寝込むこともあったようです。

有名な古典落語にも恋わずらいをテーマにした「崇徳院」という演目があります。

百人一首の「瀬をはやみ 岩にせかるる滝川の われても末に 会わんとぞ思う」の歌がキーワードになる江戸落語です。

大きな商家の若旦那が原因不明の病で寝込んでしまうのですが、その原因が恋わずらいだったのです。

医者から余命宣告されるほどの深刻な恋わずらいだったという設定ですから、大げさですよね。

でも、男女の恋は今のように自由ではなかった時代なので、そういう時代背景を考えると、恋わずらいも重かったのかも知れませんね。

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「四百四病」の語源とは

「四百四病の外」が恋わずらいを表すのは「四百四病」の意味がわからないと理解できないでしょう。

「四百四病」とは人間が患う全ての病気のことです。

仏教がもとになっていると言われています。

人間の体は、地・水・火・風の調和が保たれることで健康を保てると考えられてきました。

そのバランスが崩れると、何らかの病気になりやすいと考えられてきたのです。

そして、地・水・火・風のそれぞれに101の病があると言われてきました。

つまり、人間が患う全ての病気に含まれないのが恋わずらいということで「四百四病の外」と表すようになったわけです。

恋わずらいは、まるで原因不明の病気のように食欲がなくなったりしますが、じつはそれは病気ではなく、恋が上手くいけば嘘みたいに元気になります。

病気ではないのに、「わずらう」という言葉が使われるのでややこしいのです。

ですが、「恋わずらい」は「恋煩い」と書きます。

病気を患うわけではなく、思い悩むことを意味する「煩う」で表しているのです。

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「四百四病」が使われる言葉

「四百四病」が使われる言葉には「四百四病より貧の苦しみ」があります。

「四百四病より貧の苦しみ」とは、人間にとって苦しいのは病気よりも貧乏だという意味なのです。

「貧は病より苦し」という言葉もありますから、貧乏が何よりツラいことだと思われてきたのでしょうね。

たしかに、医療が今のように進んでいなかった時代には、貧乏から栄養状態が悪くなり、それがもとで病気になって亡くなる人も多かったでしょう。

貧しい人は病気になっても薬も手に入れられないので、結局は病気よりも貧乏の方が苦しいと考えられてきたのです。

ですが、今の時代はそうとは言えません。

とくに皆保険制度のある日本では、貧しい人でも手厚い医療を受けられます。

裕福な人はさらに最先端の医療を受けられるので、格差もあります。

ですが、どんなに大金を払っても、どうしても助からない病気もあるので、病気よりも貧乏の方が苦しいとは言い切れなくなっている気がします。

それでもやはり、貧乏はツラいですけどね。

お金持ちになれば、今抱えている悩みはほとんど解決するのに・・・と思っている人たちが大半でしょうから。

まとめ

「四百四病の外」は恋をして病気のように様子がおかしくなる「恋わずらい」のことでした。

寝込むほどの恋をしたことはないですが、好きな人のことを考えると、何となく胸が苦しくなったり、食べ物が喉を通らなくなった経験は記憶にあります。

今どきそんな人いないでしょ!と笑われそうですが、そういう純粋な気持ちは忘れたくないですよね。