「憂いもつらいも食うての上」ということわざをご存知でしょうか。
恵まれた世の中では、あまり使うこともなくなったので、初めて知ったという方も少なくないでしょう。
ですが、どんなことが起こるのか先のことはわかりません。
「憂いもつらいも食うての上」ということわざを使う日が来るかも知れません。
どのような意味なのか、どんな使い方をするのか解説しましょう。
「憂いもつらいも食うての上」とは
「憂いもつらいも食うての上」とは、
苦しいとかつらいとかの不満や不平を言えるのは、食べるものや着るものに困らない生活を送っているから言えるのだ。
衣食に困るような生活を送っている時には、不平不満も言えなくなる。
という意味のことわざです。
人が環境や処遇に対して不平や不満を言えるのも、食べるのに困らない生活を送っているからで、飢えを感じるような生活をしている者は、不平や不満など言ってられないですからね。
人が不平や不満を口にできるのは、食べる物に困らない暮らしをしているからなので、贅沢なことだと言うことを教えているのでしょう。
「憂いもつらいも食うての上」と似ている言葉
「憂いもつらいも食うての上」と似た意味を持つことわざは他にもあります。
「飢えては食を択ばず」も同じ意味のことわざです。
食べることに焦点を絞った意味のことわざでもあるので、好き嫌いの多い子供などに言い聞かせるために使われることがあります。
「これは嫌い」とか「これは食べられない」などと食べ物を選り好みできるのは、耐えきれないほどの空腹を感じたことがないからできるということを伝えているのです。
「衣食足りて礼節を知る」も似ている意味を持つことわざです。
人は食べるものに困らず、着るものに困らない生活が送れるようにならないと、礼節を知ることができないという意味です。
礼節というのは、礼儀とかマナーという意味です。
生きるのが精いっぱいの人は、礼儀とかマナーなんて気にしていられないですからね。
「憂いもつらいも食うての上」の使い方
「憂いもつらいも食うての上」の使い方を例文で見てみましょう。
なかなか条件の良いバイトが見つからないな。
そんなに都合の良い条件のバイトなんて簡単に見つからないわよ。
でも、どうせなら時給が高い方がいいし、交通費とかの手当もあった方がイイじゃない。
そんなことばっかり言ってるけど、バイトを探し始めて何か月経ってるのよ。
うーん、わかってる。
実家暮らしだからそんな悠長なこと言ってられるけど、一人暮らしだったらそんなこと言ってられないよ。
憂いもつらいも食うての上ってことわざ知らないの?
なにそれ。
不平や不満を言ってられるのも、食べるのに困らないからだってこと。
耳が痛いよ~。
このような会話で使えることわざです。
まとめ
「憂いもつらいも食うての上」ということわざは、恵まれた社会に生きていると忘れがちなことです。
ですが、いつどんなことが起きて社会の様子が一変するかも知れません。
今の恵まれた世の中を当たり前と思わずに、不平や不満ばかり言わないようにしなければいけませんね。