「逃げるが一の手」ということわざは、数年前に大ヒットした「逃げるは恥だが役に立つ」というドラマのタイトルに似ています。
意味は同じではないのでしょうが、「逃げる」ことを認めるようなことわざではないかというのはわかります。
「逃げるは恥だが役に立つ」というのは、日本のことわざではなく、ハンガリーの言葉だそうです。
この言葉をタイトルにしたコミック原作のドラマが大ヒットしたことで、初めて日本に広まったのですね。
さて、日本にも「逃げる」ことをテーマにしたことわざや名言があります。
「逃げるが一の手」をはじめ、どんな言葉があるのかまとめてみました。
「逃げるが一の手」とは
「逃げるが一の手」とは、困難が目の前に立ちはだかった時には、真正面からぶつかるよりも、ひとまずは逃げて自分の身の安全を保つことが得策だという教えです。
ばか正直に困難にぶつかって、それでボロボロになってしまえば、立ち直れなくなってしまう恐れもあります。
だから、ひとまずは身を隠して安全を保つことを考えなさいということなのでしょう。
同じ意味のとして、「逃ぐるが奥の手」とも言います。
よく使われる「逃げるが勝ち」も同じです。
面倒な結果になりそうなことは、避けることが一番良いとうアドバイスの意味があるのです。
「逃ぐるも一手」とは
「逃ぐるも一手」は「逃げるが一の手」にとてもよく似ています。
意味もそれほど遠くはありません。
戦うことだけが戦略や戦術だと思わずに、逃げることも一つの戦法だという意味です。
戦わずに逃げるのは、戦法ではないと頑固に考えずに、叶わない相手からは安全に逃げ切ることも戦法だという教えです。
「逃ぐるをば剛の者」とは
「逃ぐるをば剛の者」という言葉は、戦いには犠牲は付きものだが、無駄な犠牲を生むような戦いをするよりは、負けを認めて相手に勝ちを譲れる人ほど、本当に強い人間だという意味です。
「負けて勝つ」という言葉も「逃ぐるをば剛の者」と同じような意味です。
勝ち取るために、多くの犠牲を払った勝者よりも、犠牲を出さずに負けを譲った者の方がほんとうの勝者のように感じられるからでしょう。
「逃げる者道を選ばず」とは
「逃げる者は道を選ばず」は、「逃げるが一の手」や「逃ぐるも一手」とは少し意味が違います。
「逃げる者は道を選ばず」とは、追いつけられると、人はどんなことでもしてしまうという意味です。
もしも敵に追われている立場であれば、道がぬかるんでいようと、でこぼこの悪路であろうと、そんなことを考えて道を選ぶ余裕はありません。
まとめ
「逃げる」ことをテーマにしたことわざや名言は、世界中にあるようです。
逃げることを恥ずかしく思うよりも、逃げて安全を守る方が結果としては勝ちに等しいというのはわかりますよね。
日本の武士道は、背中の切り傷は逃げようとして背を向けたことを意味するから恥だと言われていました。
ですが、四方八方から狙われれば、逃げようとせずに戦っていても背中を切られることもあったでしょう。
逃げることを恥だとすりこまれた時代が長かったのでしょうが、今は逃げることで戦わずに安全という勝利を掴む方が大切なのではないでしょうか。