【べらぼう】と【べらんめえ】は違うの?意味や語源も違う?

名前・地名・方言

「このべらぼうめ」とか「べらぼうなこと言うじゃないか」など、「べらぼう」という表現は現在も使います。

ただ、若い世代はあまり使わないでしょうね。

東京の下町で生まれ育った昭和世代なら、まだ使うのかも知れません。

「べらんめえ」もやはり江戸っ子の言葉のイメージですね。

落語の世界では、「べらぼう」も「べらんめえ」もよく出てきます。

粋の良い江戸っ子が使う言葉ですが、そもそも「べらぼう」と「べらんめえ」は違う意味があるのでしょうか。

だとすれば、語源もそれぞれ違うということになります。

今回は「べらぼう」と「べらんめえ」のそれぞれの意味や語源についてまとめました。

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「べらぼう」の意味

「べらぼう」の意味は、使う人のニュアンスによって多少違うのですが、

あきれるほどバカげていること。
また、そのような様子の人のこと。

このような意味を持つ言葉として使います。

「べらぼう」の語源とは

「べらぼう」は漢字で書くと「箆棒」です。

語源とされている有力な説は、見世物小屋にいた奇人だと言われています。

真っ黒なカラダで、頭がとがっていて、目が赤く、猿に似た顔の奇人が見世物小屋にいて、「べらんぼう」と呼ばれていました。

今では考えられないことですが、身体的な障害がある人を見世物にしてお金を稼いでいる人たちが存在したのです。

「べらぼう」の語源は、見世物にされてしまうような奇人を「べらんぼう」と呼んでいたのが由来だったと言われています。
その後、あまりにもバカげていたりする様子に対して使う言葉に変化していったのでしょう。

語源を知ると、心が痛くなりますが、そういう時代の人の価値観だったのでしょうね。

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「べらんめえ」の意味

「べらんめえ」の意味は、「べらぼう」が「べらぼうめ」に変化して、人をののしるための口調という意味です。

「べらんめえ」の語源も、さかのぼれば「べらぼう」にたどり着くわけです。

今では、人をののしる口調というよりも、江戸っ子の粋の良い口調、威勢の良い口調という意味合いの方が強くなっています。

江戸っ子言葉と語源

「べらぼう」のように、江戸弁や江戸言葉として残っている言葉は他にもあります。

使う人が限られているので、そのうち消えてなくなりそうですが、古典落語の世界で生き続けていくと思います。

粋な江戸っ子の言葉をいくつか集めてみました。

あたぼう

「あたぼう」とは「あたりまえだよ、べらぼうめ」を短縮した江戸弁です。

威勢の良い江戸っ子が使っていた言葉なので、時代劇のセリフなどでは耳にすることもあります。

「あたりまえだよ、べらぼうめ」は「当り前じゃないか、馬鹿野郎」ということです。

親しい者同士では、こんな喧嘩口調も普通にしていたのでしょうね。

手銭

「手銭」とはてせんと読みます。

自分のお金のことを江戸っ子は手銭と呼んでいたのですね。

身銭とも言います。

お会計の際に、自腹で払う時に「ここは手銭で」などと使います。

間尺に合わない

「間尺に合わない」とは、寸法が合わないという意味ですが、江戸弁では「割に合わない」という意味で使います。

「間尺」はましゃくと読みますが、なぜか江戸っこはましょくという発音になります。

「てやんでい」

「てやんでい」も「あたぼう」と同じく、威勢の良い江戸っ子言葉としておなじみです。

「てやんでい」は「何言ってやんでい」の前方を切り取った言葉です。

せっかちで威勢の良い江戸っ子は、色々な言葉を短縮したのでしょう。

黒っぽい

「黒っぽい」は「玄人っぽい」が変化したものです。

玄人とは、その道のプロ、または精通している人のことです。
玄人に対して、アマチュアのことを素人と言います。

玄人(くろうと)=黒人、素人(しろうと)=白人となるのは不思議です。

黒と白という色に当てはまったのは、こちらが先だったという説もあります。

[https://kotobanogimon.life/?p=410]

まとめ

べらんめえ口調は、傍から聞いているとまるで口喧嘩しているかのように荒っぽいのが特徴です。

世界有数の人口密集地帯だった江戸の街では、のんびりと暮らせなかったので、ついせっかちになり、口調も荒くなっていったのかも知れませんね。

しかし、そういう荒っぽい言葉を使っても喧嘩にならないのは、良い時代だったことを表しているのではないでしょうか。