愛知県名古屋市は、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康の三英傑とゆかりの深い土地です。
戦国時代をモチーフにした時代劇などでは、豊臣秀吉がコテコテの名古屋弁を話していたり、徳川家康がクセの強い三河弁を話す演出をしているのが笑えます。
不思議なことに、織田信長が名古屋弁を話している演出は見ないですね。
イメージと違うからなのでしょうか。
それはさておき、名古屋弁のなかに「やっとかめ」という方言があります。
この方言の意味や由来、使い方などを詳しくご紹介します。
「やっとかめ」の意味
名古屋弁の「やっとかめ」の意味は、標準語にすると「久しぶり」とか「ご無沙汰」です。
古くからの名古屋弁は尾張弁とも言いますが、古い名古屋弁を使う世代ではまれに「やっとかめだなも」と語尾に「~なも」をつけることがあります。
「~なも」は「ですね」とか「だね」という意味なので、「やっとかめだなも」というのは「久しぶりだね」ということです。
「やっとかめ」の由来
「久しぶり」という意味の名古屋弁である「やっとかめ」の由来には諸説あります。
有力な説が3つあるのでご紹介します。
八十日説
「やっとかめ」は八十日という月日を表しているという説が、一番浸透しています。
地元民の半数はそう思っていますので、逆に他の説があることに驚いてしまうでしょう。
八十日説が世の中に浸透したのは、落語家の小噺が広まったと言われています。
昔から、「人のうわさも七十五日」ということわざがあります。
75日の月日が流れれば、人の噂もすっかり消えて、忘れられてしまうという意味です。
つまり、噂が消えて忘れられるほどの月日よりもさらに5日長い間、80日も会っていなかったというのが由来だというのが1つ目の説です。
約十日説
「やっとかめ」の由来としてはあまり有名ではないのですが、「約十日」が訛って「やっとかめ」になったという説もあります。
名古屋の人もあまり知らない説ではありますが、方言はもともとの言葉が訛って伝わることが多いので、可能性としては考えられます。
やぁーっと説
「やっとかめ」は、名古屋弁や三河弁など、愛知県を中心とした方言の「やぁーっと」が由来になったというのも有力な説です。
「やぁーっと」とは標準語で言う「ずっと」みたいな意味で使います。
標準語では「ずっと会えなくて、心配していました」という言葉が名古屋弁では「やぁーっと会っとらせんで、心配しとった」となります。
この「やぁーっと」が「やっとかめ」の由来になったというのも1つの説です。
方言がさらに訛って特徴的な方言が生まれるというのも面白い説ではありますね。
「やっとかめ」の使い方
「やっとかめ」の使い方を例文で見てみましょう。
本社に戻ってきたんだね。おかえり~
ただいま~
やっとかめだね。ずいぶん雰囲気変わったじゃない?
そうかな。
てか「やっとかめ」って何?
ああ(笑)
名古屋弁で「久しぶり」ってことなの。
名古屋勤務になって最初におぼえた名古屋弁。
インパクト強くてさ。
ホントだね。
はじめて聞いたよ。
しばらく名古屋弁が消えないかも知れない。
面白いから会話のネタになって楽しい!
でも、実際に名古屋の人はあまり使ってないんだけどね。
とくに若い人は使わないんだって。
そうなんだ。
まとめ
「やっとかめ」のような名古屋弁に限らず、どの地方の方言も若い世代は使わなくなる傾向があります。
せっかくその土地に伝わる言葉の文化なので、伝えて欲しいと思います。