「面白い話があるんだよね、また今度話すね・・。」
なんて言われたら、気になりますよ。
「ええ~、また今度なんで言わないで、今聞かせてよ~。」
「でも、話すと長くなるからさ、また時間のある時にゆっくり話すよ。」
「そんなじらさないでよ、せめてさわりの部分だけでも聞かせてよ」
このような会話から、話のさわりとは、どの部分を指しているのか想像できます。
多くの人が話のさわりの部分のことを、話の内容の頭のところだと思っているのではないでしょうか。
しかし、どうやらそうではないらしいのです。
話のさわりの部分とは、どこを指しているのでしょうか。
話のさわりとは?
話のさわりのは、話の内容の頭の部分のことではなく、その話の中で一番盛り上がるとこをを指しているのです。
音楽で言うところのサビの部分になるわけです。
なぜ話のさわりが一番盛り上がる部分を指すのかというと、もともと義太夫という芸から生まれた表現だからです。
義太夫は、平家物語などの古典に節をつけて語る芸です。
物語の一番の聞かせどころで、感動する部分を「さわり」と言っていました。
心に触れる感動的な盛り上がりの部分というのが、語源ではないかと言われています。
なぜ逆転してしまった?
話のさわりの部分のことが、なぜ本来の盛り上がりの部分のことではなく、頭の部分のことになってしまったのか、その理由はハッキリわかっていません。
有力な説としては、「さわり」という響きから、「ちょっと触る」という意味で、頭のところだけちょっとだけ・・という意味として使われるようになったのです。
なんと、55%の人が話のさわりとは頭の部分だと思っているそうなので、もう正しい意味を知っている方が少数派になってしまったのです。
音楽はなぜさわりではなくサビに?
音楽の盛り上がり、聞かせどころのことはサビと言いますよね。
義太夫のような古くからある芸に「さわり」という専門用語があるのに、なぜ歌謡曲ではサビと言われるようになったのか、その理由を調べてみると、まさかのワサビ由来が有力な説だとわかりました。
ワサビたっぷりだと鼻につーんときて、涙がじわっと出てきます。
そのくらい盛り上がり、感動する部分だからサビの部分だと言われるようになったという説が有力です。
他にも侘び寂びが由来という説もありますが、ハッキリとした由来はわかりませんでした。
音楽業界の俗語のようなものが一般社会にも広まったものなので、正しい音楽用語というわけではないそうです。
まとめ
話のさわりは最初の部分のことではなく、一番盛り上がるところですが、間違って認識している人が増えすぎたため、冒頭のことを指しても間違いと指摘されることはなくなっています。
誤用が定着してしまったので、仕方ないのでしょう。
でも、正しい意味をきちんと理解しておかないといけませんね。