【居候】とはどんな立場の人のことをなの?語源はどこから?

ことばの意味

居候(いそうろう)と言えば、赤の他人の家に同居している人のことです。

同居人というと、シェアハウスとして同居しているようなイメージなので、居候と同居人は少し違うのかも知れません。

居候とは、いったいどんな人のことを言うのでしょう。

それに、なぜ居候と呼ばれるようになったのか、語源はどこからきているのでしょうね。

今回は、居候の意味や語源について解説します。

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居候とは

居候とは、他人の家で衣食住を世話されて養われる人のことです。

しかし、このパターンの居候が定着したのは江戸時代からだと言われています。

もともとは、規模の大きな農家に同居する人のことでした。

大規模に農業を営んでいる家では、働き手を雇って同居させることもありました。

しかし、通年ではなく、忙しい時期だけの労働力として同居させることもあるのです。

居候といえば、役立たずの厄介者のイメージが定着していますが、もともとは繁忙期に労働力として同居させたことが始まりだったのです。

しかし大規模農家が減少するとともに、居候として寝起きを共にする労働者は少なくなっていったのです。

居候の語源とは

居候の語源を調べてみると、江戸時代の住民票のような文書から生まれた言葉だとわかりました。

江戸時代には、今のような戸籍はなかったのですが、人が自由に移動しないような規制がありました。

街道に設けられた関所を通る時には、役所から許可された文書(通行手形)が必要だったのはご存知の方も多いと思います。

今のような住民票制度ほど細かいわけではありませんが、誰が何処に住んでいるのかを役所は把握していたのです。

居候は他人の家に暮らす人なので、それを役所が認める文書があり、そこに居候と書かれていたのが語源だと言われています。

そこに「居る」ことに丁寧語の「候」を付けたのが居候の由来になったのです。

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落語の世界に出てくる居候

居候は他人の家に厄介になる人というのは、江戸時代から定着してきました。

落語の世界にも、厄介者の居候のお話はよく出てきます。

有名なのは「湯屋番」です。

この落語に出てくるのは、あまりにも遊びが過ぎて親から見放されてしまった若旦那が、大工の家でお世話になるお話です。

しかし、何もしないでぶらぶら、ゴロゴロしているだけの若旦那に、大工のおかみさんがイライラして、働かせようとするのですが・・・。

この頃の居候は、お世話になっている家の息子などを引き受けることが多かったのです。

出入りの業者(大工・庭師など)の親方に頼み込むのです。

見放したくても見放せないのが親心なので、知り合いに頼むしかないのでしょう。

大きな商家の出入り業者になれば、仕事に困ることもないので、職人たちは世話になっている旦那さんの頼みは断れません。

つまり、江戸時代の居候の多くは、自分の立場をわかっていて、お世話になっている身分なのに、何もしないでゴロゴロしている厄介者が多かったのです。

居候のことわざ

居候が出てくることわざには、

「居候の三杯目」というのがあります。
「居候三杯目はそっと出し」とも言います。

これは、居候の身は肩身が狭いので、三杯目のおかわりは遠慮がちにそっと出すという意味です。

「居候置いて合わず居て合わず」ということわざもあります。

このことわざの意味は、居候を引き受ける側も世話になる側も、気を使わなければいけないので苦労が絶えません。
いくらお世話になった人の息子でも、居候は割に合わないということなのです。

居候になっても、他人の家でご飯を食べさせてもらうことに何も感じないような息子がほとんどでしょうが、多少は遠慮する気持ちも芽生えてくるのかも知れませんね。

まとめ

居候は、働きもせずご飯を食べさせてもらい、寝るところを提供されるという羨ましい立場です。

他人の家で長くお世話になるなんて、きっと遠慮して気を使うでしょうが、数日程度なら経験しても良いかも知れません。

居候は住民票のような公文書が語源だったのは、驚きでした。

意外なものが由来になっている言葉なのですね。