「知らぬ神より馴染みの鬼」ということわざを知っていますか?
ことわざには犬、猫、ねずみ、馬、牛、すずめなど、身近な動物や、松や桜、梅などの植物などがよく使われます。
身近なものを使うからこそ、わかりやすく伝えられるからでしょう。
また、神様、仏様、そして鬼もよく登場します。
神、仏に対しては、敬うべき大切な存在を伝える象徴として使います。
そして鬼は、恐れるべき存在として使われます。
「知らぬ神より馴染みの鬼」ということわざには、神様と鬼が出てきます。
どのようなことを伝えるために生まれたことわざなのか、「知らぬ神より馴染みの鬼」について解説します。
「知らぬ神より馴染みの鬼」とは
「知らぬ神より馴染みの鬼」ということわざには、
善良な人でも疎遠な仲の人よりは、多少の欠点はあっても懇意にしている身近な人の方がよい。
このような意味があります。
知らぬ神とは、良い人だけで親しいわけじゃない人のことなんですね。
馴染みの鬼は、欠点はあるけど、日ごろから仲良くしている人のことです。
神様や鬼という言葉を使うので、とても深くて大きな意味を持つことわざのように聞こえてしまいますが、神様と鬼を使うことで、わかりやすく表現しているのでしょう。
神様ではなく、仏様を使って「知らぬ仏より馴染みの鬼」ということもあります。
似た意味の言葉
「知らぬ神より馴染みの鬼」と似た意味の言葉を集めてみました。
あまり知られていないことわざもありますので、チェックしてみてください。
遠くの親類よりも近くの他人
遠くにいる親戚よりも、困った時には他人でも近くにいる人の方が頼りになるという意味のことわざです。
「遠くの親戚よりも近くの他人」ということわざを使って、近所付き合いの大切さを説くこともあります。
遠き親子より近き隣
親子であっても、遠く離れていては、頼ることもできないので、隣人の方が頼りになるという意味です。
「遠き親子より近き隣人」は「遠くの親戚よりも近くの他人」と同じです。
遠くに離れている身内よりも、赤の他人でも近くにいる人の方が助け合えますからね。
遠水近火を救わず
もしも火事になった時、遠くから水をかけても火を消すことはできません。
水は近くになければ役に立たないという意味のことわざです。
「遠水近火を救わず」と同じ意味のことわざに、「遠水渇きを救わず」があります。
遠くの水では、喉の渇きを潤すことはできません。
どちらも、遠くにある者よりも、近い者の大切さを伝えています。
手遠い者はまさかの用に立たぬ
手の届かない遠いところにいる人は、まさかの事態になった時には役に立たないという意味です。
まさかの事態は、予測できないので、突然起こります。
そんな時には、遠いところにいる人に助けを求めても無理だと伝えているのです。
「手遠い者はまさかの用に立たぬ」には、近い存在は出てきません。
しかし、遠くにいる人は緊急事態には間に合いませんから、近い存在の重要性も含んでいると思います。
まとめ
「知らぬ神より馴染みの鬼」のように、身近な存在の大切さを伝えることわざは、人間関係のヒントになります。
あまり親しくない人は、その人の欠点を見つける機会もないので、とても良い人に見えるかも知れません。
近くにいる人は、欠点が見えやすいものです。
それでも、身近な存在の方が親しみやすいので、大切にしなければいけませんね。
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