「トカゲのしっぽ切り」や「トラの尾を踏む」など、生き物の尾を使ったことわざがあります。
人間には尻尾はないので、動物の習性や特徴などから、ことわざを作ったのでしょうね。
トカゲやトラなど、動物の名称が使われていることわざもあるのに対し、「尻尾を出す」や「尻尾を巻く」のように、動物の名称がついていないものもあります。
動物を限定していないのは、同じ動物のことを指しているからなのか、それとも違う動物なのか解説します。
「尻尾を出す」とは
尻尾を出すとは、隠していることや、悪事を働いたことなどが、何かのきっかけで明るみに出ることです。
なぜ尻尾を出すという言葉が使われるようになったのかと言えば、狐や狸が人を騙すと伝わっていたからです。
狐と狸がほんとうに化けるのかどうかはわかりませんが、化けても尻尾が隠れていなければバレてしまいます。
隠しているつもりでも、尻尾が出ていてはわかってしまうので、「尻尾を出す」という言葉は狐と狸の尻尾がもとになっているのです。
「尻尾を巻く」とは
尻尾を巻くとは、勝ち目のないことを認め、相手に降参している様子を表す言葉です。
「あいつ、尻尾巻いて逃げていきやがったぜ」というように、ケンカの場面などでよく使われますね。
尻尾を巻くという言葉は、犬の尻尾をもとにしています。
犬は自分から見た相手の上下関係を判断する動物だと言われています。
強そうな相手とケンカして負けそうになったら、尻尾を巻いて負けを認めるからです。
ただ、犬の種類によっては、尻尾がすごく短い犬種もいますし、負けないほど長い尻尾の犬種もいます。
柴犬や秋田犬など、日本犬の尻尾は巻きやすいですから、全ての犬種に当てはまるわけじゃありませんよ。
また、犬が喜びや興奮を表現する時に尻尾をぶんぶんふります。
その様子も、「あんなに嬉しそうな顔して、尻尾ふってきたよ」などと使われます。
尻尾の役割は動物によって違う?
動物にはもともと尻尾があったのですが、進化の過程で使わない尻尾は退化していきました。
人間のルーツも尻尾はありましたが、使わなくなったことで尾骨という名残だけが残ったのでしょう。
ということは、尻尾のある動物は尻尾が必要だというわけです。
しかし、動物の種類によっては尻尾の役割は違います。
犬と同じく人間と一緒に生活する伴侶動物の猫も、尻尾があります。
尻尾が曲がっている子や、尻尾が短い子もいますが、猫の尻尾も犬と同じく感情表現のツールです。
興奮している時や怒っている時は、尻尾の毛を膨らませます。
イライラしている時は、尻尾を叩きつけるようにバンバンと動かします。
このような感情表現の他にも、猫の尻尾はバランス感覚を整えるための器官としても使います。
他にも牛や馬は虫を追い払うために尻尾を使うこともあります。
ワニは尻尾を武器にするなど、尻尾の使い方や役割はそれぞれ違うのです。
尻尾の使い方を色んな動物で観察してみると、面白そうですよね。
まとめ
「尻尾を出す」は化ける狐と狸から、「尻尾を巻く」は、負けるとおとなしく尻尾を巻く犬から生まれたのです。
犬が身近な動物だったことはわかりますが、狐や狸も身近な存在だったのでしょうね。