ことわざとしては割と有名な「風が吹けば桶屋が儲かる」ですが、ことわざの伝えようとしている意味は知っていても、由来までは知らない人が多いのではないでしょうか。
ことわざの由来には2つの説があるのですが、意外と知られていませんので、ご紹介します。
■風が吹けば桶屋が儲かるの意味とは?
風が吹けば桶屋が儲かるとは、無関係のように見えるところに思いがけない影響が及ぶという意味です。
■風が吹けば桶屋が儲かるのはなぜ?
桶屋は棺桶を作る桶屋説
風が吹けば桶屋が儲かるということわざの意味について、2つの説があるのをご存知でしょうか。
1つの説は、風が吹くと体調を崩して病気になる人が増えてしまう。
それで病気をこじらせて死んでしまう人が増えるから、棺桶を作る桶屋が儲かるという説です。
これはこれでブラックな由来ですが、これは思いがけないところに影響が出ると言うほどかけ離れていないような気がします。
桶が壊される説
もう1つの方は、少し複雑です。
風が吹くと砂が舞い上がり、それが目に入って眼病にかかり、失明する人が増えてしまいます。
失明した人は按摩になるか、三味線引きになるくらいしか生きる術がなかった時代があります。
目の不自由な女性が三味線ひきとなり、村々を渡り歩く職業のことを瞽女(ごぜ)と呼んでいました。
座頭市も座頭という盲目の人の階級のことで、三味線や琵琶などを弾きながら物語を語る職業のことでした。
ということから、失明する人が増えると三味線を習いはじめる人が急に増えることになります。
当時の三味線は猫の皮を使っていたので、三味線の需要が増えれば、それだけ猫が犠牲になるわけです。
日本ではもともと猫は納屋で飼い、作物をねずみの被害から守るために人間の側で生きている動物でしたから、犠牲になる猫が増えれば、猫が退治するはずのねずみが増えてしまいます。
するとねずみが桶をかじってしまうため、桶屋が儲かるというわけです。
2つの説を比べてみると、たしかに風が吹けば桶屋が儲かるという意味に通じるのは、失明する人が増える説の方が腑に落ちます。
風が吹いて体調を崩して死んでしまうから棺桶の需要が増えるのは、思わぬ影響が及ぶということわざの意味としては少し弱いですね。
どちらの説が正しいかと言えば、失明する人が増えるから・・という理由の方が思わぬところに及ぶ影響という意味ではしっくりします。
■まとめ
風が吹けば桶屋が儲かるということわざの由来を聞いても、「ただの風で失明?」と今の時代では理解できないかも知れません。
ですが、衛生的に今のような環境ではないので、眼病になると失明してしまうことも少なくなかったようです。
しかし、こじつけと言えばそれまでですが、ことわざが生まれる背景は興味深いものです。