【書き入れ時】なのか【掻き入れ時】なのかどちらが正しいの?

ことばの雑学

お店などを経営していると、商売が忙しくなる時期んことを「かきいれどき」と言いますよね。

「かきいれどき」という言葉は耳慣れているのですが、どんな字を書くのか?と聞かれるとちょっと自信がなくなります。

「書き入れ時」なのか「掻き入れ時」なのか、どちらが正しいのか分からない人も多いようですね。

どちらが正しいのか解説しましょう。

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「書き入れ時」と「掻き入れ時」正しいのは

商売が繁盛している時のことを表すのは「書き入れ時」なのか「掻き入れ時」なのか、どちらが正しいのかと言いますと、正解は「書き入れ時」です。

「掻き入れ時」と間違えられやすい理由としては、商売繁盛の縁起物として有名な熊手から連想されるのだと思います。

初恵比寿の時などに神社で売られる熊手は、商売繁盛の幸運を掻き入れるという縁起を担いで売られるようになったと伝わっています。

そのため、商売繁盛している時期のことを「掻き入れ時」と思う人がいるのもわかりますね。

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「書き入れ時」の由来

商売が忙しい時期のことを繁忙期とも言いますが、「書き入れ時」という表現をするのはなぜなのでしょう。

この「書き入れ時」は大和言葉として古くから使われています。

由来は商売に欠かせない帳簿に書き入れることから生まれた言葉だと言われています。

商売していれば帳簿は必ず必要なものです。

忙しい時には、売上や仕入れなど、帳簿に書き入れることも多いので、商売が忙しい時のことを「書き入れ時」というようになったのです。

「書き入れ時」の対義語とは

商売繁盛している時期の「書き入れ時」に対して、商売が上手くいかない時という意味の慣用句はどんな言葉があるでしょう。

よく使われるのは「閑古鳥が鳴く」という慣用句です。
閑古鳥というのは「カッコウ」の異名です。
カッコウの鳴き声は寂しさを感じさせるので、客の来ない様子を表現していると言われています。

他には「上がったり」というのもよく使われますね。
「商売あがったりだよ」という使い方をされます。
「上がる」というのは上向きを連想させるのに、なぜ商売が上手くいかない時に使われるのでしょうか。

この「上がったり」というのは、うまく機能しないとか、ダメになってしまうという意味の大和言葉でもあるので、古い言葉から使い続けられているのです。

今はあまり使わなくなっていますが、「左前になる」「左回りになる」「左向きになる」というのも物事が上手くいかなくなる時に使います。

「商売が左前になる」は商売が上手くいかなくなるという意味になります。

「左前」とは、着物の合わせ方をする時に左を上にすることです。
亡くなった人の装束に着せる時は左前にするので、縁起が悪いという意味があるのです。

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まとめ

商売が忙しいことを「書き入れ時」というのは、帳簿がもとになっていたのです。

帳簿は今も昔も商売をする上で大切なものだったことがよくわかります。

今でも手書きの帳簿をつけている人は、まさに「書き入れ時」を実感するのではないでしょうか。