「鑿と言えば槌」ということわざを知っていますか?
このことわざに出てくる鑿(ノミ)と槌(ツチ)は大工道具です。
2つの大工道具が出てくるので、このことわざは大工さんなどの職人に関することなのかと思いがちです。
ですが、ことわざの意味を知ると、大工さんなどの職人の世界以外でも使えそうです。
「鑿と言えば槌」の意味や使い方について解説します。
「鑿と言えば槌」とは
「鑿と言えば槌」とは、
何ごとにもよく気がつき、気が利くこと。
という意味のことわざです。
「鑿と言えば槌」の由来
鑿という道具は、先端が平な鋼になっていて、木材や石材などを削るのに使います。
ただ、鑿だけでは硬い木材や石材を削ることはできません。
鑿の使い方は、柄の部分を槌でたたいて削ります。
槌というのは金槌、鉄槌、木槌など種類があります。
釘を打つ時などに使い、「トントン」「カンカン」と音を出すので「トンカチ」という俗語で呼ばれることもありますね。
「鑿と言えば槌」というのは、鑿を使う時には欠かせないのが槌なので、「鑿を取ってくれ」と頼んだ時に、何も言わなくても一緒に使う槌も用意するような気が利く人に対して使うことわざなのです。
職人の世界では、親方や師匠のそばについて、仕事を見て覚えている見習いの立場の人は、道具を用意するのが重要な仕事です。
仕事の手順がわかってくると、親方が次に使うものを前もって準備できるようになります。
何も言われなくても、使う道具が準備できているような気が利く見習いは、仕事をおぼえるのが早くて、評価も高いですよね。
言われたことしかできないような気が利かない人は、職人の世界だけじゃなく、どのような仕事でも先輩や上司など目上の立場からの評価は低くなってしまいます。
職人の世界から生まれたことわざですが、どんな所でも使えるのではないでしょうか。
「鑿と言えば槌」の使い方
「鑿と言えば槌」の使い方を例文で見てみましょう。
忙しい時に悪いけど、午後から訪問する○○社の地図をプリントしてくれないか?
はじめて行くところだから、迷って遅刻すると困るから。
わかりました。
ああ、ありがとう。
助かったよ。
ん?地図に何か所か印が書き込んであるが、これは?
駅周辺にある和菓子屋と洋菓子屋です。
手土産を用意するのであれば‥と思いまして。
さすがだね。
「鑿と言えば槌」とは君のような人のことだよ。
このように、頼んだこと以上に気が利く人に対して使えますね。
まとめ
「鑿と言えば槌」のことわざに例えられるような、気が利く人は、一緒に仕事する人を気持ちよくさせてくれます。
仕事だけじゃなく、友達同士でも家庭内でもそうなのかも知れませんね。
相手が望むことを察することができるような人になれれば、どんな世界でも評判の良い人になれるのではないでしょうか。