「うだつが上がらない」ということわざはよく耳にします。
何度かことわざの意味も聞いたことがあると思うのですが、よく理解できなかったので記憶に残らないようで、すぐに忘れてしまいました。
「うだつが上がらない」という日常的に使われることが多いことわざの意味は、知っておくべきだと改めて調べることにしました。
うだつとは?
うだつとは「梲」という字で書きます。
日本家屋の建築で使っていたもので、屋根よりも高い小屋根を作るための短い柱のことです。
このうだつをつけて棟上げすることで、家屋を立派に見せることもできますが、もともとは防火のための役割をする小屋根です。
こんな感じのもの
日本家屋は家事が何よりも恐れられていたので、大切な財産は分厚い土壁で囲まれた蔵に入れていたものです。
うだつを作る家は、裕福で守るべき財産があるので、立派なうだつを作って家屋を守る必要があったわけです。
大工の用語としては、うだつが上がると棟上げという意味で用いられていたこともあり、家を建てる時にはうだつが上がることが一つの区切りとしても考えられてきました。
「うだつが上がらない」の意味とは
ことわざとしての「うだつが上がらない」は、建築とは関係ない意味で使われます。
うだつを上げて立派な家屋を作るためには、相当な費用が必要でした。
それなりに費用をかけても守るべき家だからですよね。
裕福な家じゃなければうだつを上げることができないことから、「うだつが上がらない」は出世できないことや、将来が期待できないこと表すことわざに用いられるようになったわけです。
出世が期待できないような会社に勤めている人に対して、またはこの先続けていても成功する見込みがなさそうな人に対して「うだつの上がらないことはもうやめただどうだ」なんて言うようになったのです。
または、お金持ちになれない、貧乏生活が続くと言った意味でも使われることがあります。
江戸時代の庶民の家とは
うだつを上げることができる家がお金持ちの象徴のように言われるのは、庶民の住んでいる家とはかけ離れていたからです。
例えば江戸時代の江戸の町は世界で一番の人口密集地帯でした。
江戸の町に住んでいる人のほとんどは、長屋住まいだったので、うだつを上げるような家屋に住めるのは、ごく一部の限られた人たちだけです。
庶民が暮らす長屋は、とにかく簡単な作りでした。
その理由は、火事です。
長屋がひしめくように集まっている江戸では、火事が一番怖い災害でした。
しかし今のような防火設備はないし、水で火を消すのも限界があります。
ですから、一番の防火は、燃える家を手早く壊して火の勢いを止めることだったんです。
その時に活躍する火消しの人たちは、もともと大工が本職です。
作るプロでもあり、壊すプロでもあるわけです。
そのため、簡単に壊せて、また簡単に建てられるように長屋を作っていました。
火事が出たら、とにかく延焼を食い止めることが最優先されたのですね。
そのような簡素な造りの家に住んでいた庶民から見ると、うだつの上がる家は憧れの対象だったのでしょう。
まとめ
うだつの上がらない人は、何となく「ウダウダと文句ばかり言っているしょうもない人」という意味で理解していた頃もあったので、ちゃんと意味を知らないと恥をかくところでした。
面白いことわざの由来でしたので、もう二度と忘れないようにしなくては!!