「焼が回る」ということわざは、どんな意味なのか知っていますか?
「あいつも焼が回ったな」とかドラマや映画のセリフでは、今でもよく聞きます。
でも、実際に「焼きが回る」とはどんな由来があり、どんなことを伝えるのか理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。
「焼が回る」の意味を解説します。
「焼きが回る」とは
「焼きが回る」とは、
年をとったりして、思考や判断力などが衰えてしまう。
という意味があります。
なぜ、老化によって衰えることを「焼きが回る」というのか、その由来は刃物などを作る工程が由来になっています。
次項で詳しくご説明しましょう。
「焼きが回る」の由来とは
「焼きが回る」とは、刀や包丁など、刃物を作る時に、材料になる金属を高熱で焼き、それをたたきながら伸ばしてカタチを作っていきます。
今では、ほとんどが機械で作るのでしょうが、昔ながらの方法で刃物を作っている鍛冶職人の映像などを見るとよくわかります。
真っ赤になるほど熱して、少しずつカタチにしていくのです。
しかし、その工程であまり熱を入れ過ぎると、切れ味の悪い刃物になってしまうのだそうです。
どんなに熟練の職人でも、年齢を重ねて腕が衰える時がきます。
そうなった時に、絶妙な加減が上手くできなり、腕が鈍ったと感じた時に「焼きが回り過ぎた」ということが由来になったのです。
たぶん、素人にはわからないくらいの微妙な違いなのでしょうが、腕が全ての厳しい職人の世界では許されないことなのかも知れませんね。
「焼きが回る」とは、鍛冶職人のあいだで使われていた隠語のような言葉がもとになり、老化による衰えなどを表すことわざになっていったわけです。
「焼きが回る」の使い方
「焼きが回る」ということわざを、窮地に追い込まれる時に使うのを見聞きしたことがありますが、それは間違いです。
「もうどうにもならない。俺も焼が回ったぜ」という使い方をするのなら、当事者が自分の衰えを自覚している時です。
「逃げ場所を失った」とか「叱られそう」など、困った時に使う言葉ではないので、間違えないようにしましょう。
「最近は、いつものように仕事をしているつもりなのに、定時までに終わらなくなった。仕事の量は減っているのに・・。そろそろ焼が回ったのかな」
このように使います。
まとめ
「焼きが回る」は、何となく俗語のようなイメージがあるので、あまり一般的に使わないような気がします。
ですが、正しい意味を知れば、「老化」や「衰え」という表現の代わりに使えるのですね。